ACTION
1 紀伊山地の霊場と参詣道全体の情報発信(歴史街道推進協議会)
紀伊半島の神髄は「神道・仏教・修験道という3つの聖地が共存し、それが古道によって結ばれ、今に生きている」ことにあります。
が、現状は3つの県、23市町村、4鉄道(JR東海・西日本、南海、近鉄)ごとの情報発信が主流で、「全体情報」発信の担い手はあまり多くありません。
少しでもこうした課題を解消しようと、さまざまな媒体での広報活動に取り組んでいます。
(1)パンフレット、インターネット
数多くの歴史文化資源を有する「紀伊山地の霊場と参詣道」の課題の一つは、 分かりやすい資源整理やコース設定です。
複雑に見える紀伊山地ですが、各地への訪問は実は「名古屋」「大阪」「奈良」と白浜空港からの4ゲートしかなく、当面は、それらを「3つの聖地」「4つの絶景」「5つの古道」「6つの温泉」「7つのパワースポット」に絞り込み、情報発信を始めています。
(2)テレビ番組
朝日放送「歴史街道ロマンへの扉」、NHK「エッセーロマン歴史街道」での番組放映は計400回(関西全域では3800回)。
以外にも関西各地のケーブルTV会社共同制作による「私のまちの歴史街道」が放映されています。
中・右:朝日放送「歴史街道ロマンへの扉」 高野山創建1200年記念特別番組(2015年2月)
(3)雑誌等
月刊「歴史街道」(PHP研究所)、「歴史の旅人」(歴史街道倶楽部会員誌)、JR西日本・東海、南海・近鉄の広報雑誌などでの、情報発信に取り組んでいます。
左から「月刊 歴史街道」2015年4月号・5月号、「歴史の旅人」2014年夏号、同・2015年夏号
(4)広告・展示
左から関西主要駅(新大阪・大阪・天王寺・三宮・京都:計95スクリーン)における広告、関空スクリーン(吉野)、京都駅地下ポルタにおける「世界遺産地図展)、海外でのパネル展(ソウル・釜山・北京・香港・ボストン)
(5)メディア訪問
メディアとの関係強化をめざし、東京・名古屋へのメディア訪問をおこなっています。
主な訪問先:TBS「世界ふしぎ発見」、日本TV「遠くへ行きたい」、TV東京「和風総本家」、NHK、フォーリンプレスセンター、共同通信、家庭画報、サライ、地球の歩き方、旅の手帖、旅行読売、、一個人、月刊歴史街道(東京)朝日新聞社、読売新聞社、毎日新聞社、サンケイ新聞社、中日新聞社、東海TV、ラジオ東海、ZIPFM、東海ウォーカー(名古屋)
(6)シンポジウム
金峯山寺・金剛峯寺・熊野三山など宗教関係者からなる「紀伊山地三霊場会議」などとのコラボによるシンポジウムを、東京・大阪にて6回に渡り開催しています。
大阪(2012・3)、東京(2013・1)、大阪(2014・10)、大阪(2015・10)
(7)インバウンド
欧州・南米ふくむ海外の主要都市でのべ50回の「KANSAI FORUM」を開催したほか、北京でのラジオ番組放送(95回)、メディア・エージェントなどを対象にしたファムトリップを数多く実施してきました。
ちなみにフランスにおける「高野山ブーム」の立役者、Nicole-Lisa Bernheimさん(「Saisons Japonaises」著者:写真右の女性=故人)を、初めて現地に招聘したのも当会です。
2 持続可能な広域圏づくり(歴史街道推進協議会)
情報発信と地域づくりはまさに「車の両輪」です。紀伊半島全体、また各地の広報活動と併せ一過性でない、広域・官民ならではの地域貢献を模索しています。
(1)歴史街道モデル事業
田辺市(本宮地区・口熊野地区)、橋本市、新宮市、那智勝浦町、高野町、紀の川大和街道地区、吉野町、橋本市、吉野町、西熊野街道周辺地区(五條市、天川村、十津川村、野迫川村)において「歴史街道モデル事業」計画が策定され、整備事業などが進められています。
※「世界街道モデル事業」計画(左から那智勝浦・新宮・吉野・西熊野街道周辺地区)
(2)要望活動
「世界文化遺産」地域連携会議との連携で実施しています。主な要望項目は
①台風被害からの早期復興
②古道の修繕は小規模なものがほとんどでるにもかかわらず、土地買い上げや修理整備の国庫補助対象が200万以上の事業となっており、その対象となっていない点
③ ②はじめ、各世界遺産値域が抱える問題を包括的に解決する「世界遺産特別法」の制定
④東京五輪に向けて - 新幹線×世界遺産によるインバウンド促進
など。
(3)地域リーダーのネットワーク形成
地域づくりのソフト面で第1に重要なのは「人」です。
「紀伊山地の霊場と参詣道」世界遺産登録時に結成された「紀伊半島交流会議」をリニューアルし、地域リーダーや行政関係者のからなる連携チームを立ち上げました。
現在のメンバーは約70名で、メーリングリストを通しての意見・情報・アイデア交換が中心ですが、これまでなかなか集まれなかった各地の実践者が、日常的に交流できるインフラができたことにはとても大きな意義があります。
多くのブレーンの知恵を集めつつ、協議会ならではの貢献分野を極めていくことと併せ、「持続可能なパイの拡大(あるいはパイの減少抑止)のためにどうしていくか」をともに考えていくこと。また、A地区とB地区、C地区とD社・Eさん、F社とG社・Hさん、IさんとJさん・・・・らがともにWINWINとなる事業分野が次々と発見されていくための、よき媒介役となることを目指して行きたいと考えています。
(4)大学とのコラボレーション
あわせて、次世代の観光まちづくり人材との交流にも努めています。 和歌山大学(観光学部)との連携で、「歴史街道」講座、学生インターンの受け入れ、ツアーへの学生モニターなどを継続しました。
(5)ツアーコースづくり
第二に、観光地域づくりのソフト事業として重要なのは、具体的な誘客事業を通し、地域間・関係者間の連携を深めていくことです。 「ツアー」の実施、受け入れはその典型例。短期的には紀伊山地を「着地型観光」の先進地域にしていくこと。また長期的には紀伊山地が「温泉地のハシゴによる長期滞在」による「よみがえり」のエリアとして広く認知されていくことを目指して行きたいと思います。
(6)観光案内所のネットワーク
一方では、受け入れ体制の充実に向け、地域間・施設間で連携しなければできない事業を、1つずつ形にしていくことも重要です。まず着手したのが「観光案内所のネットワーク」。紀伊山地のどこに行っても共通の広域情報が入手できるようになることが目標です。
- ○観光案内所ネットワーク(南大阪~紀伊半島:34箇所)
- アイセルシュラホール 桜井観光案内所 道の駅・吉野路大淀iセンター 吉野路観光案内処 野迫川村総合案内所 天川村役場 天川村総合案内所 大峯山洞川温泉観光案内所 道の駅十津川郷・十津川路七色(観光案内所) 飛鳥総合案内所・飛鳥びとの館 明日香村観光会館 吉野山ビジターセンター 高野町観光情報センター 高野山観光協会・中央案内所 高野山観光協会・中の橋案内所 高野山観光協会・一の橋案内所 南紀田辺観光案内センター 中辺路町観光協会 熊野古道館世界遺産熊野本宮館 大塔観光協会 観光案内所「カモン館」龍神観光協会・観光案内所紀 伊勝浦駅前観光案内所 那智駅交流センター 新宮市観光協会 南海和歌山市駅観光案内所わかちかサービスセンター 加太観光協会 三重県立熊野古道センター 堺東観光案内所 堺駅観光案内所・南海電鉄堺駅1階 堺駅観光案内所・南海電鉄堺駅2階西口 大仙公園観光案内所 岸和田だんじり会館 LICはびきの 河内長野市観光案内所 藤井寺まちかど情報館ゆめぷらざ 南海インフォメーションセンター(難波) (※以外に北近畿、関西中央部をあわせて100箇所の観光案内所のネットワークがひとまずできています)
(7)「世界遺産サミット」の誘致
そうした流れの一環で、2015年11月には「世界遺産サミット」の誘致に成功しました。主会場となった田辺市以外でも、各地で歓迎行事が実施されています。