紀伊山地の霊場と参詣道 入門
紀伊山地の霊場と参詣道の神髄は
1.大自然の中に異なる宗教(神道・仏教・修験道)の聖地が存在し、
2.それらが相互に古道で結ばれ、
3.千年単位で日本人の心を癒し、現在に伝えられている
点にあります。
紀伊山地の霊場と参詣道は(和歌山・三重・奈良の3県、また多くの地域や鉄道路線にまたがる広域性を持ちますが)「1つ」のまとまりです。そのユニークなエリア特性から、サンチアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)に次いで「道にかかわる2つ目の世界文化遺産」に登録されました。
このHPはそんな「紀伊山地の霊場と参詣道」の入門編。数々の魅力や歴史文化的価値を、「3つの聖地」「4つの絶景」「5つの古道」そして「6つの温泉」「7つのパワースポット」に分け、ご紹介しています。
3つの聖地
高野山
(和歌山県高野町)
金剛峯寺(こんごうぶじ)は高野山真言宗の総本山で、全国に約四千ケ所の末寺を有しています。
弘法大師空海が開創した当時は高野山全体を金剛峯寺と称していましたが、 豊臣秀吉が亡母の菩提を供養するために建立した青厳寺と興山寺を合併し、現在の総本山金剛峯寺と改称されました。
TEL 0736−56−2011
内拝料500円
拝観時間 8:30−17:00(入館16:30まで)
Pあり
吉野・大峯
(奈良県吉野町・天川村)
古くから桜の名所として知られる吉野の中心は、金峯山寺蔵王堂(きんぷせんじざおうどう)。
金峯山修験本宗(修験道)の本山です。
釈迦・観音・弥勒の化身と言われる三体の金剛蔵王権現を本尊とずるためこの名があり、
高さ34m、重層入母屋造、総桧皮葺の堂々たる建物。
修験体験もできます。
TEL 0746-32-8371 境内自由(蔵王堂拝観は500円)
吉野までは近鉄特急で大阪阿部野橋から1時間16分、奈良から大和西大寺・橿原神宮前経由1時間30分、京都から橿原神宮前経由1時間46分、名古屋からは大和八木・橿原神宮前経由で2時間56分です。
また、天川村にある大峰山寺(おおみねさんじ)は役行者(えんのぎょうじゃ)が開いたとされる大峯山、山上ケ岳の山頂近くに建つ寺院。
修験道発祥の地として知られ、現在も女人禁制です。
開山は毎年5月3日から9月21日まで。
熊野三山
熊野那智大社
(くまのなちたいしゃ:和歌山県那智勝浦町)
神武天皇が熊野灘から那智の海岸「にしきうら」に上陸された際、那智の山に光が輝くのをみて大瀧(那智の滝)をさぐり当てられ、神として祀ったのが始まりとも言われています。
社殿は熊野造りで、享保・寛永の大改修を経て、昭和10年に修復。平成7年に重要文化財に指定されました。
TEL 0735-55-0321 境内自由(宝物殿は200円) 拝観時間 8:30-16:30 Pあり(有料)
熊野本宮大社
(くまのほんぐうたいしゃ:和歌山県田辺市)
熊野三山の中心。熊野に天下った熊野坐大神(家津美御子大神)を祀ったのが起源と言われています。
かつては熊野川の大斎原(おおゆのはら)に社殿がありましたが、明治22年の大洪水で社殿が流されて現在の地に移されました。
社殿中央の熊野造りの証誠殿に、主神の家津美御子大神が祀られています。
TEL 0735-42-0009 境内自由(宝物殿は300円) 拝観時間 8:00-17:00 Pあり
熊野速玉大社
(くまのはやたまたいしゃ:和歌山県新宮市)
熊野三山のひとつで、主君は熊野速玉大神。
かつては熊野三所権現が神倉山に降臨され、その後現在地に遷られたために、ここを新宮といい、神倉山を元宮といいます。
速玉大社は熊野三所権現が主神のため、熊野権現とも呼ばれました。
参道右にある神宝館には、千点を越える国宝・重要文化財が展示されています。
TEL 0735-22-2533 境内自由(神宝館は500円) 拝観時間 9:00-16:00 Pあり
熊野三山へのゲートとなる新宮は名古屋からワイドビュー南紀で3時間25分、那智勝浦までは新大阪より特急くろしおで3時間40分です。
4つの絶景
瀞峡
(どろきょう:和歌山県・三重県・奈良県)
北山川渓谷の下流域で、3県にまたがる景勝地。
さらに七色あたりまでを奥瀞と呼び、総称して瀞峡と呼んでいます。
下瀞は瀞八丁として特に有名で、熊野川の志古から上瀞を往復するウォータージェット船が就航しています。
TEL 0735-22-5101 熊野交通
七里御浜
(しちりみはま:三重県熊野市ほか)
三重県熊野市から紀宝町鵜殿にかけ、熊野灘に面して約22キロ続く、日本一長い砂礫海岸です。
美しい砂礫は御浜小石と呼ばれ「日本の白砂青松百選」「21世紀に残したい日本の自然百選」「日本の名松百選」に選ばれているほか、
アオウミガメの上陸場所としても知られています。
TEL 0597-89-6172 東紀州地域振興公社
鬼が城
(おにがじょう:三重県熊野市)
三重県熊野市にある海岸景勝地。
千畳敷、犬戻り、潮吹、鬼の見張り場、飛渡り、蟻の洞窟などと名付けられた石英粗面岩が連なり、
国の名勝・天然記念物となっています。
熊野灘に突き出た半島の岩盤が、大地震での隆起や波の浸食によってえぐられ、大小無数の洞窟となっています。
TEL 0597-89-6172 東紀州地域振興公社
串本
(くしもと:和歌山県串本町)
本州最南端の地、また古くから紀州航路の避難地として知られます。
リアス式の入り江や波に削られた絶壁、奇岩怪石が続く海岸線が熊野灘県立自然公園に指定されています。
TEL 0735-62-5755 道の駅くしもと橋杭岩
5つの古道
熊野古道・伊勢路
いにしえ人の憧れ、熊野三山をめぐる熊野古道の中で、伊勢神宮から熊野に向かう三重県側のルート。
他ルートに比べ歩くのが容易で、峠から太平洋が一望できるなど景観的にも優れているため、一般向けです。
人気のエリアは、馬越(まごせ)峠、松本峠、始神(はじかみ)峠など。
名古屋からはJR紀勢線と伊勢・紀勢自動車道、京都からは近鉄松阪経由でのJR紀勢線と新名神から伊勢・紀勢自動車道経由での訪問が可能です。
情報入手は尾鷲の三重県立熊野古道センター(TEL0597-25-2666)で。
熊野古道・中辺路
熊野古道の中でも最も多くの人々が通ったとされるルート。
現在も多く、熊野権現の御子神を祀る王子跡が残されており、
滝尻王子から山中の険路を通り、近露、継桜、伏拝など九十九王子を経て熊野本宮大社にいたります。
情報入手は熊野本宮前の和歌山県世界遺産センター(TEL 0735-42-1044)で。
また、田辺市中辺路町近露にある「古道歩きの里 ちかつゆ」では気軽に古道歩きができるよう、駐車と古道歩きの出発点までの送迎ができます。
熊野古道・大辺路
紀伊田辺で中辺路と別れ、海沿いを新宮方面に向かうルート。
田辺市の闘鶏神社から富田川を渡り、日置川に入り、再び海岸線に出て串本、勝浦、新宮へと続きます。
JR紀勢線や国道42号と重なる部分が多く、鉄道利用による古道歩きが可能です。
和歌山県世界遺産センター(TEL 0735-42-1044)にて。
熊野古道・小辺路
高野街道とも呼ばれる道。
高野山から果無山脈を越え、熊野本宮大社に至る。
熊野三千六百峯といわれる山々を南北に貫く道で、高野山と熊野本宮大社を結ぶ最短コースで、
石仏や丁石などが今に伝えられています。
和歌山県世界遺産センター(TEL 0735-42-1044)。
大峯奥駈道
吉野から熊野まで山上ケ岳、弥山、八経ケ岳など二千メートル近い山々の尾根を縫うように続いています。
修験道の中でも最も過酷で、厳しい修行の場です。
吉野から熊のまでの間にある75ヶ所の靡(なびき)で般若心経を納めます。
6つの温泉
勝浦温泉
(和歌山県那智勝浦町)
風光明媚な景勝地にあり、リアス式海岸のあちこちに温泉が湧くことにより、旅館は各々自前の源泉を持っています。
近くには紀野松島や那智の滝など多くの名所があります。
白浜温泉
(和歌山県白浜町)
道後、有馬と並ぶ日本三大古湯に数えられます。
飛鳥・奈良時代から「牟婁の湯」「紀の温湯」として知られ、斉明天皇、文武天皇などが紀州行幸の折に入湯したと伝わっています。
熊野本宮温泉郷
(和歌山県田辺市)
川湯温泉
川原を掘れば、たちどころに温泉が沸き、自分だけのオリジナル露天風呂が楽しめます。冬期は「仙人風呂」も。
湯の峰温泉
熊野本宮大社の南西2km。1日に7回色を変えるという「つぼ湯」は、熊野本宮大社の禊斎場の名残り。小栗判官の伝承でも有名です。
渡瀬温泉
熊野川の支流、四村川の中州に沸く温泉。西日本最大級の露店風呂やクアハウス、バンガローなどもあり、日帰り入浴にも適。
龍神温泉
(和歌山県田辺市)
川に面した山峡に沸く温泉で、島根県の湯の川温泉、群馬県の川中温泉とともに日本三大美人の湯として知られています。
大峯山で修行をしていた役行者が発見し、弘法大師が難陀龍王のお告げによって開湯したと伝えられています。
龍神観光協会(TEL 0739-78-2222)
洞川温泉
(どろかわおんせん:奈良県天川村)
大峯山に修行に入る行者の宿泊基地として開けた温泉です。
高所にあるため夏でも比較的涼しく、避暑地としても知られています。
みたらい渓谷の紅葉でも有名。
大峯山洞川温泉観光協会(TEL 0747-64-0333)
十津川温泉郷
(とつかわおんせんごう:奈良県十津川村)
十津川・湯泉地・上湯の3つを総称し、日本一面積が大きな村、十津川村にあります。
秘湯というにふさわしい山峡の湯で、村内の温泉は100%源泉かけ流し。
近くには「谷瀬の吊り橋」や人力ロープウェイ「野猿」があります。
十津川村観光協会(TEL 0746-63-0200)
7つのパワースポット
花の窟神社
(はなのいわやじんじゃ:三重県熊野市)
日本書紀にも記されている日本最古の神社と言われ、古来からの聖地として今に伝えられてきています。
明治期に神社として登録されましたが、本来はイザナミノミコトの御陵と言われます。
年2回、例大祭がおこなわれ、窟上45mの高さのご神体から大綱を渡す神事が太古の昔から受け継がれています。
熊野市観光協会(TEL 0597-89-0100)
神倉神社
(かみくらじんじゃ:和歌山県新宮市)
新宮市街地の西、千穂ケ峰の南端に鎮座するゴトビキ岩をご神体とする、熊野速玉大社の摂社。
古代の人々は巨岩の上に神が宿ると信じており、熊野三所権現降臨の地とされます。
大斎原
(おおゆのはら:和歌山県田辺市)
熊野本宮大社から東に500mほどにあり、明治22年の熊野川大洪水まではここに社殿がありました。
現在は石垣と祠が2基残っており、こんもりとした森が厳かな雰囲気を漂わせます。
入口の鳥居は日本最大級。
拝観自由
熊野本宮観光協会(TEL 0735-42-0735)
古座川の一枚岩
(和歌山県古座川町)
古座川に沿って屏風のようにそそり立つ、高さ約150m、幅約800mの巨岩。
一枚の岩盤としては佐渡島の大野亀や屋久島の千尋の滝などとともに、全国最大級とされています。
道の駅一枚岩(TEL 0735-78-0244)
天河大辨財天社
(てんかわだいべんざいてんしゃ:奈良県天川村)
役行者が大峯修験道開山に先立って、修行を行なった古社。
能楽と縁の深い神社で、能面や能楽衣装が多数保存されています。
本殿の能舞台では、春・夏・秋の例祭で能が奉納されます。
TEL 0747-63-0558
参拝自由
Pあり
玉置神社
(たまきじんじゃ:奈良県十津川村)
かつては修験道の大霊場となった古社。
玉置山の山頂近くに位置し、熊野三山の奥の宮とも呼ばれています。
境内には樹齢三千年ともいわれる杉の巨木があります。
TEL 0746-64-0500
参拝時間 8:00-17:00
襖絵拝観料500円
Pあり
立里荒神社
(たてりこうじんしゃ:奈良県野迫川村)
弘法大師が高野山を開くにあたり、伽藍繁昌密教守護のため、三宝荒神を描いて祀ったのが始まりとされています。
高野山と結ぶ神仏習合の宮として明治初年まで宝積院と称していましたが、廃仏毀釈により「荒神社」と称するようになりました。
野迫川村産業課(TEL 0747-37-2101)
参拝自由
Pあり