文化遺産をめぐるおすすめルート33 トップへ戻る

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大阪府堺市

1.エリアの概要

 

堺にある百舌鳥古墳群は4〜6世紀に築造されました。その中でも最も有名なのは仁徳陵古墳(大仙古墳)。クフ王のピラミッド、秦の始皇帝陵とならぶ世界最大規模の墓の1つです。
百舌鳥古墳群には仁徳陵古墳以外に計47基(前方後円墳21基、円墳20基、方墳5基、形態不明1基)が現在に伝えられています(写真左は反正陵=仁徳陵・履中陵とともに百舌鳥耳原三陵)。
百舌鳥・古市古墳群は先頃、世界文化遺産の暫定リストへの記載が適当と評価されました。
さて、堺の歴史的な見所の最たるものが古墳めぐりであることは論を待たない所ですが、「どこまで古墳にこだわったスケジュールを組むか」はそれぞれのご関心次第です。
堺市役所21階展望ロビーからの案内をうけたり、仁徳陵周辺を訪問する程度にとどめ、「黄金の日々」の舞台となった中世の堺、千利休や与謝野晶子など堺ゆかりの歴史的人物の足跡を巡ってみるのも1つ。本文でご紹介するレンタサイクルや路面電車(阪堺鉄道)の利用も含め、それぞれの興味に合わせた探訪スケジュールをチョイスして下さい。

ミニ知識:仁徳陵と日本の大規模古墳

仁徳陵、大山古墳、大山陵、百舌鳥耳原(みみはら)中陵、大仙古墳、大仙陵・・・これらは全て仁徳陵古墳を示す呼び名です。被葬者がはっきりしないため、最近は大仙陵と呼ばれることが多くなってきているようですが、地元や学者の間では慣れ親しんだ「仁徳陵」の方に戻す方がいいという意見も多いようです。

「仁徳陵」の全長は486m、前方部の幅は305mで、面積では世界最大。「2位」は古市古墳群にある応神陵、「3位」は仁徳陵からほど近い履中陵・・・と、大阪府下の6基が「ベスト10」内に入っています(以外は岡山県2、奈良県2:堺では以外にニサンザイ古墳が8位)。

少し意外なところでは「体積日本一」は仁徳陵ではなく応神陵です。

ちなみに、前方後円墳は前方部、すなわち「鍵穴の下」のまっすぐな部分の中央が正面になっています。

2.訪問のポイント

堺は自転車や包丁の生産地としても知られています。
古くからの冶金技術が鉄砲の大量生産を可能にし、またその鉄加工技術が自転車生産や近代の工業都市化に受け継がれた、ということのようです。
「まちめぐり」では、レンタサイクルの利用(写真左上)がお薦めです。
大仙公園、南海高野線堺東駅、南海線・堺駅の観光案内所にレンタサイクル(1日300円)があり、他の案内所への返却も可能(+200円)なためとても便利。

さて、写真左をご覧下さい。
仁徳陵の前方部に隣接して大仙公園、その向こうが履中陵、小さく下側がいたすけ古墳・少し離れて左側が御廟山古墳です。
これらの古墳の風景が一望できるポイントは、南海高野線堺東駅前の堺市役所21階展望ロビーです。
ボランティアガイドが常駐しており説明が受けられるとともに、軽い食事や喫茶ができ、休憩ポイントにぴったりです。

百舌鳥古墳群を実際に訪ねてみたい方には
(1)仁徳陵を正面から見学し、あとは周辺施設(博物館・お茶室等)をゆっくり楽しむ
(2)レンタサイクルで仁徳陵を1周(約3キロ)してみる
(3)仁徳陵から大仙公園、履中陵などを巡ってみる
(4)百舌鳥古墳群をできるだけ多く、じっくり回る
(5)百舌鳥から古市古墳群、近つ飛鳥方面に足を伸ばす
 の、どのコースにチャレンジされるかをお決めください。

 (1)〜(2)は2時間程度、さらに(3)は自転車で半日、(4)なら自転車で丸1日、(5)はさほど遠くはありませんが、車での移動が便利です。
仁徳陵から旧市街地への距離は2.5キロ程度。
バス・タクシー利用のほか、レンタサイクルでも移動可能です。
旧市街地内の移動は徒歩・レンタサイクルのほか、大阪(天王寺・恵比須町)から来ている路面電車(阪堺電車)を利用する方法もあります。

3.堺までの交通

堺は大阪市内(なんば)から南海電車利用で10分、またJR(天王寺)利用でも10分という近さにあります。南海利用では南海高野線の堺東駅(写真左)、南海本線の堺駅のいずれも中心駅になります。
両駅から旧市街への距離は同じくらいですが、仁徳陵・大仙公園への直通バスが出ているのは堺東駅。また、駅前にはAで述べた堺市役所の展望ロビーがあるため、ここでは堺東駅の利用をお薦めします。

  • 関西空港からの入口は堺駅になります(南海電車の空港急行で37分)。
    仁徳陵方面へは堺東駅で乗り換える必要がありますが、両駅は「南蛮」風のシャトルバスで頻繁に結ばれており、それほど遠くない(堺駅→仁徳陵3キロ、堺東→同1.5キロ)ため、タクシーやレンタサイクルでの移動もお勧めです。
    また、仁徳陵へ徒歩で行くためには、大阪(天王寺)からJRの百舌鳥駅(同・右写真)を利用するのが便利です。
      
    大阪からはこれらのほかに天王寺・恵比須町からAで述べた阪堺電車(路面電車)を利用する方法もあり、ゆっくりとスローな堺観光を体験できます。

    車では近畿自動車道から、大阪中央環状線(府道2号)を利用するのが一般的なコース。その他、阪神高速堺線の堺出口、阪神高速湾岸線の大浜出口を利用しても大差ありません。大阪市内からは10分程度です。

4.現地到着後の情報入手&各種申し込みの方法

  •  南海高野線堺東駅前、南海線堺駅構内、および仁徳陵正面(大仙公園入口)に観光案内所が設置されています。レンタサイクルや「語り部案内」の申し込みはこちらでどうぞ。
     いずれも「歴史街道iセンター」を兼ねており、大阪以南、紀伊半島までの主要観光地の情報も入手可能です。

5.古墳めぐり入門・初級編

<入門編>
仁徳陵を正面から見学し、そのあとは周辺施設(博物館・お茶室等)をゆっくり楽しむ最も一般的なコースです。
南海高野線堺東駅からバスかレンタサイクル、JR百舌鳥駅から徒歩、車の場合は大仙公園駐車場を利用し、まず仁徳陵を正面から見学。

次いで大仙公園内にある「堺市博物館」(写真左下)「自転車博物館」「茶室伸庵」(写真右下)などを訪問するコースです。
広大な大仙公園(写真右下)は家族連れやカップルにもおすすめ。「堺市博物館」は古代・近世を中心に堺の歴史を分かりやすく学べる施設で、「歴史街道」のスタンプ設置場所にもなっています。
「茶室伸庵」では、庭園の見学は無料で、お点前は立礼で一服、干菓子付が300円です。

<初級編>
仁徳陵を1周してみる
仁徳陵の大きさを実感するために、自転車や徒歩で仁徳陵を1周してみるコースです。
堺では仁徳陵を含む多くの古墳の周辺が遊歩道になっており、あの巨大な仁徳陵(一周2,750m)でも自転車なら20分程度でまわれます(写真左下)。
レンタサイクルは大仙公園の観光案内所(写真右)や自転車博物館でも借りることができ、大仙公園や周辺施設をこれでめぐるのも快適です。

6.古墳めぐり中級・上級編


<中級編>仁徳陵から大仙公園、履中陵などを巡ってみる
仁徳陵から大仙公園を抜け、履中陵など百舌鳥古墳群の主な古墳を巡ってみるコースです。
徒歩なら半日、自転車でも2時間くらいはかかると思って下さい。
まず、大仙公園の南東に隣接しているのが、わが国第3の面積を誇る「履中陵」。
少々迂回するものの、ここもぐるりと1周できます。
次いでJR阪和線を東に渡れば「いたすけ古墳」、「御廟山古墳」があります。
このあたりの古墳をめぐる遊歩道は、多くの箇所がきれいに整備されています。
観光案内所で詳細MAP入手の上、トライされることをお薦めします。


<上級編>百舌鳥古墳群をできるだけ多く、じっくり回る
丸一日がかりでも完遂できないかも知れませんが、堺には47の古墳全てを回るMAPなども備え付けられています。戦災を受けた都市にあって、千数百年もの間、これだけの遺産が守られてきたことはむしろ奇跡的かも知れません。
47古墳の位置をおおまかに示した「百舌鳥古墳めぐり」パンフレットがありますす。

7.旧市街を歩こう

仁徳陵の中央から「御陵通」を西北西へ2キロほど行ったのが阪堺電鉄の「御陵前」エリア。旧市街地めぐりはこのあたりが南端になり、以降のポイントへも路面電車、徒歩、自転車での移動が可能です。
南宗寺は大坂夏の陣で焼失後、沢庵和尚により、元の位置より南へ移したこの地で再建されたもので、千家一門の供養塔や徳川家康のものと伝えられる墓があります。隣接する大安寺は呂宋助左衛門の居宅を移したと伝えられます。
阪堺電車で2駅大阪寄りの「宿院」から「大小路」にかけての見所は千利休屋敷跡、与謝野晶子生家跡、宿院頓宮、開口神社、菅原神社など。
 「大小路」の次「花田口」から「妙国寺前」にかけてはザビエル公園や堺刃物伝統産業会館。
さらに2駅行った「綾ノ町」には国指定重要文化財の山口家住宅があります。
 「御陵前」から「綾ノ町」までの距離はざっと3キロ程度です。


8.周辺の見所

●堺まつり
10月第3土・日曜日に開催される、堺を代表する祭。
火縄銃隊の演技、パレード、特産品即売などが中心で、60万人を超える観衆が集まります。

●「日本一低い山」が堺にある
堺駅から西へ徒歩5分、大阪湾に面した大浜公園は幕末の黒船来航に備えてお台場(砲台)が築かれた場所。明治から昭和初期にかけて、関西有数の海浜リゾート地として少女歌劇や海水浴などで賑わいました。
公園の一角に一等三角点が設置されている山としては日本一低い「蘇鉄山」(標高6.84m)があります。
大阪らしい洒落っ気で発行されている「登山証明書」(於:神明神社)も是非ご入手ください。
 

9.堺1泊行程

●古市古墳群(藤井寺市役所:072−939−1111、羽曳野市役所:072−958−1111)
堺から東へ。藤井寺市から羽曳野市にかけて広がる古墳群で、200mを超える前方後円墳6基など、約120基以上の古墳があります。
代表的なものに応神天皇陵(415m)、仲哀天皇陵(岡ミサンザイ古墳:242m)、墓山古墳(225m)、日本武尊白鳥陵(前の山古墳:190m)など。
周辺遺跡を含め、どちらかと言えばレンタカーや車での移動をお薦めします。堺からは西名阪自動車道藤井寺IC下車、所要約30分。
電車の場合は一旦、大阪市内に戻る必要があり、南海高野線堺東駅から近鉄古市駅まで45分。所要は南海高野線堺東駅から大阪市内(新今宮駅)が10分、新今宮駅からJR環状線で天王寺駅に移動(2分)し、隣接する近鉄大阪線阿部野橋駅から20分。

●近つ飛鳥博物館(大阪府南河内郡河南町:0721−93−8321)
古事記にある「近つ飛鳥」という呼び名は、難波の宮などから近い方の飛鳥(河内の飛鳥)と、遠い方の飛鳥(大和の飛鳥)という呼び方をされたことによるものです。
近つ飛鳥には多くの渡来人が住み、渡来文化が真っ先に流入した古代文化の先進地域でした。
館内中央には仁徳天皇陵の巨大模型があり、また館外には群集墳が保存された「大阪府立近つ飛鳥風土記の丘」がひろがっています。

●竹内街道
堺市内の大小路から金岡神社を経て東に向かい、古市古墳群を経て、二上山の南・竹内峠を経て、奈良県葛城市の長尾神社付近に至る、「日本最古の官道」。全長約26km。最も雰囲気が味わえる大阪府太子町内までは南阪奈道路羽曳野東IC(30分)か、近鉄上ノ太子駅(大阪阿部野橋駅から30分)より。

●岸和田
南海線で堺駅から15分、気軽に移動できるお薦めの場所がここ。見所はだんじり会館(072−436−0914:歴史街道スタンプポイント)、岸和田城、紀州街道のまちなみなど。
だんじり会館は「だんじり祭」を紹介する展示館で、大型スクリーンで祭の迫力を体感できるほか、最古のだんじりの実物などが展示されている。実物大の屋根に乗る疑似体験もできます。

10.宿泊 周辺情報

リーガロイヤルホテル堺:
南海線堺駅に隣接(072−224−1121)。

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