歴史街道倶楽部 イベント

日本の美シリーズ パートV 浄土・念仏信仰の美

募集内容

実施日 2002年9月7日(土)

レポート

実施日:2002年9月7日(土)

参加人数:105名

倶楽部からあらかじめ届く資料は、貴重でわかりやすく解説されている。今回はさらに、本シリーズの企画をされた加藤賢治氏が同行され、バスのなかで説明を加えられ、非常に参考になった。浄土思想はアイヌ民族の儀式のなかにも見られ、日本人に受け入れられやすい思想であるといったことや、イチロー選手の「野球用具を大切にする心」のエピソードを交えての輪廻転生、アニミズムなどの観点からの話など興味深いものであった。
蒸し暑く雨をはらんだ山霧は横川中堂に着いたころ本降りになった。船形の朱塗りの首楞厳院で、慈覚大師円仁、山修山学の教えなどの法話を聞く。人の心に染み入るという天台声明のハーモニーを一度聴いてみたいと思ったのは、あの静寂な霊峰のせいだったのだろうか。
京都市街に入ると幸い雨もあがった。法然上人が初めて浄土教を布教されたという知恩院。二条城の書院造りを模したという雅な大方丈、狩野派による襖絵などスケールの大きさに圧倒される。疫病が流行り、不穏な社会状況のなかで「市の聖」と呼ばれた空也上人の業績は、六波羅蜜寺の立像からもうかがい知ることができる。地蔵菩薩像、空海・平清盛・湛慶・運慶座像など、藤原・鎌倉期の重要文化財が多く必見。真宗本願寺派本山西本願寺は能舞台を二つも持つ。秀吉ゆかりの飛雲閣、庭園、唐門など、桃山・江戸期の国宝、重要文化財は、親鸞上人の教えとともに全国からお参りする多くの信者の心を魅了しているのだろう。

歴史街道倶楽部会員誌「歴史の旅人」より転載