スタッフレポート

宇陀で石まみれ!    第2回 全国佐吉サミット 江戸末期の「日本一」の名工、丹波佐吉の石造物の魅力と保存の取り組みを紹介するフォーラムに参加しました。

江戸末期に「日本一」と称された名工、丹波佐吉の石造物は近畿を中心に120基余りが確認されており、その半数近くが奈良県宇陀市にあります。中でも菟田野平井にある四国八十八箇所霊場を模した大師山石仏群は佐吉石仏の初期の姿を伝えています。この佐吉石造物を対談で紹介し、リレートークで保存の取り組みを語る佐吉サミットが、11月17日(日) 奈良カエデの郷「ひらら」講堂で開催されました。 サミットに先立ち、10時50分から「ひらら」で10月10日から実施されていた中村大心氏撮影の佐吉石仏の写真展において、紀伊半島交流会議伊勢街道分科会 裏宗久会長によるギャラリートークが実施され、石仏の特徴から観賞時のライトの当て方まで詳細な解説に皆さん感心し、解説終了後も参加者の質問が途切れませんでした。

午後1時10分から始まった佐吉サミットの前半では、奈良学園大学特別客員教授 磯辺ゆう氏と、紀伊半島交流会議伊勢街道分科会 裏宗久会長により「平井大師山石仏群と宇陀の佐吉石造物」と称し、佐吉の生涯や、佐吉も多く残した狛犬のと特徴から始まり、石仏の鑑賞方法、平井大師山石仏群の構成や石仏の特徴から見える制作チームの作業分担状況まで、佐吉石造物について幅広く紹介されました。

後半では、まず、小豆島狛犬探求会の山西輝美代表から、2017年にニュースになった小豆島の富丘八幡宮神社にある神馬(しんめ)の発見至る経緯から、その後の保存の取り組みまでの苦労が語られました。その後、平井大師山管理委員会の奥田一博委員長から、石仏群の清掃活動をボランティアを募り実施したことや、保存活動を実施する際には、害獣害虫等が様々な形で邪魔になるといった紹介がされました。

当日は午後から若干小雨となる天気でしたが、会場となった教室の窓からは、カエデに加えイチョウの鮮やかな紅葉も垣間見え、講師の方々のユーモアあふれるお話に皆さん笑顔も絶えず、とても充実したフォーラムとなりました。