スタッフレポート
歴史街道推進協議会 令和元年度「歴史街道現地見学会」 岸和田市におけるインバウンドに対する取組みについて
当協議会では、会員間の情報交換、ノウハウの共有を目的に「歴史街道」関連地域で実施されている先進事例の見学会を毎年実施しています。 令和元年度は、2月18日(火)岸和田市において「岸和田市におけるインバウンドに対する取組みについて」をテーマに開催し、9団体15名が参加されました。 午前中は岸和田だんじり会館と五風荘を見学いたしました。 10時に岸和田だんじり会館に集合し、現地見学会開催の主旨と行程を説明した後、岸和田市観光課の西河課長様からご挨拶をいただきました。
だんじり会館の見学では、岸和田市観光振興協会の武田吉清様から、現存する岸和田最古のだんじりや近代のだんじりについての説明があり、参加者は質問をするなど真剣なまなざしで説明を聞いておられました。 また、大型マルチビジョンや3Dだんじりビジョンでは、実際に「岸和田だんじり祭」を間近で見ているかのような迫力満点の映像が流れ、参加者の皆さんは興味深く見入っておられました。
その後、寺田財閥の寺田利吉氏が昭和初期に10年の歳月をかけて造営した、和風建築と回遊式日本庭園を有する邸宅、「五風荘」を見学いたしました。 岸和田市郷土文化課の山岡邦章氏から、柾目の木材を使用した母屋や日本建築の数奇を凝らした茶室のご説明があり、散策を楽しみながら写真を撮るなど貴重な体験となりました。
午後からは、岸和田城の見学と紀州街道沿いにある蛸地蔵天性寺を見学しました。 岸和田市では、インバウンドに力を入れるため、「岸和田城周辺インバウンド観光推進に係る調査及び検証等業務委託」に係る公募型プロポーザルを実施しました。 その業務委託事業の内容と今後の展開などを岸和田城の見学を通じて、岸和田市観光課の髙橋宏和氏から説明していただきました。 城内では案内、サインや音声ガイド等に多言語対応がされており、海外からのお客さまにも見学を楽しんでいただき、SNS等での拡散を図るなどの工夫についてご紹介がありました。
また、郷土文化課の山岡邦章氏の案内で、蛸地蔵伝説の映像鑑賞や重森三玲氏が設計・作庭を行った回遊式枯山水庭園である国指定の名勝「八陣の庭」を見学いたしました。 八陣の庭は、天守閣上や上空からの眺望を意識したデザインとなっており、水平方向からの眺めだけでなく、上空からの眺めも意識して設計された独創的なデザインで現代庭園の画期となった作品と評価されています。 また、城内には特別展示として、岸和田市本徳寺に所蔵されている実物の明智光秀肖像画が展示されていました。(3月8日(日)まで展示)
城内見学の後、岸和田城の遺構の中でも特に有名な犬走り(石垣、土塁などの崩落を防ぐためのもの)に案内していただきました。 日頃は開放されていない場所でもあり、他のお城には見られない犬走りについて、質問をする参加者もおられました。
岸和田城見学の後も郷土文化課の山岡邦章氏が同行してくださり、蛸地蔵天性寺まで紀州街道(江戸時代の幹線道で豪商などの町家が立ち並んでいた)歩きを楽しみました。 蛸地蔵天性寺の住職は、災いから岸和田の地を守った白法師と無数の蛸のお話しを描いた「蛸地蔵縁起絵巻」について、ユニークな口調で語ってくださり、参加者は熱心に聞き入っておられました。 毎年8月23日と24日に開催される、地蔵盆の「千日大法会」で「蛸地蔵縁起絵巻」がご開帳されるそうです。
貴重な昭和の遺産「コンクリート製ごみ箱!」。 山岡邦章氏によると、岸和田市には今でも数多く残っているそうです。
天性寺見学の後、岸和田だんじり会館に戻り、本日の振り返りと意見交換を行いました。参加者全員のご意見、ご感想を伺うことができ、今後の現地見学会に活かせていきたいと思います。 今回は岸和田市のご協力により、盛りだくさんの内容で実施することができました。 岸和田市のご協力をいただきました皆さま、ありがとうございました。 また、ご参加の皆さま、寒い中での現地見学会お疲れさまでした。