スタッフレポート
歴史街道倶楽部・近畿文化会共同企画 新春文楽鑑賞会 舞台と大道具製作室の見学
新年恒例となりました「新春文楽鑑賞会」を1月19日に開催しました。 今年は特別企画として、舞台と舞台裏、大道具の製作室の見学をさせていただきました。 まず、公演前の舞台にあがらせていただき説明を受けました。客席からの視野にあわせるため、舞台から一段低くなっている「船底(ふなぞこ)」や、人形の足の位置にあたる地面をあらわすための仕切り板「手摺(てすり)」、舞台の上手と下手にあって「竹本」と「豊竹」の紋を染め抜いた「小幕(こまく)」など、これまであまり気にとめていなかった舞台の仕組みを教えていただきました。整然と並んでいる人形遣いさんの下駄は、高さがまちまち。これは、人形の足の位置=地面と「手摺」をあわせるために、人形遣いさんの身長にあわせて作られているそうです。次は舞台裏へ。太夫さんと三味線の方が演奏される「床(ゆか)」と呼ばれる舞台。語り終えると回転して次の太夫さんと三味線の方が登場します。この床の裏では、清めの塩をまかれるので足元はザラザラしていました。 大道具製作室には、絵の具、筆、建物や背景になるであろう、板や角材などが所せましと並べられていました。 参加者からの質問にも丁寧に解説をしていただいた、関西舞台の岡本さん、ありがとうございました。
見学後は、初春文楽公演第一部を鑑賞しました。 仙台藩伊達家のお家騒動を脚色した「伽羅先代萩」では、幼い主君を守るため、乳母が息子を犠牲にするという場面。乳母・政岡のどうしようもない悲しみが込められた、織太夫さんの語りは圧巻で、会場から拍手が。沢市、お里の夫婦愛が描かれた「壺坂観音霊験記」は、お里を疑ったことを恥じて身を投げた沢市、そして後を追うお里。最後はお里の日頃の信仰心のおかげで、観音様が二人に命を与え、沢市の目も見えるようになるという、ホッとするお話でした。 お寄せいただいたアンケートには、「舞台をつくるのに多くの方が関わっておられることが良くわかりました」「舞台の大きさにビックリ」「段取り良く装置が並んでいて、裏方の工夫と苦労がしのばれます」「舞台見学、大道具製作現場の見学と貴重な体験となりました」「太夫さんの表情を間近で見ることができ、しばし息をとめてしまいました」「伽羅先代萩は、鬼気迫るもので、人形が演じているとは思えないほどでした」といった感想をいただきました。 文楽鑑賞会は、人形遣いや三味線、太夫などの事前解説つきで実施しています。まだご覧になっていない方も、ぜひ一度お出かけください。